水の檻

 

先週、初めてお酒を飲んで泣いてしまった。すごくすごく不愉快な、言われたくなかった言葉を言われたくない場で言われて、それでも空きっ腹に流し込んだお酒もあって、言いたくもない慰めの言葉がつらつら出てくるのを自分でも感じていた。

 

 

言わなければひとの気持ちはわからないし、一生私の気持ちなんてわからなくていいと思う。

 

電車に乗って長い帰り道に着いたとき、ほんのひと駅で涙が出てきてしまった。電話をかけたら友達と飲んでいる途中なのに出てくれて、心配してくれた。結局会いに行ってしまった。彼は「何があった」とは一言も聞かなかった。

 

 

美学の許容キャパがオーバーすると、いつも突発的に涙が出てくる。そのとき初めて、自分が限界だったことに気づく。その度に私は誰に頼らなくてもよかったはずなのに、もう頼らないと無理になってしまった。

 

誰に対しても、(家族、友人、恋人など)『きらきらひかる』に出てくる「水の檻」を感じる。作中に出てくるものほど切ないものではないけれど、誰に対しても一定の距離を保っていないと、理解などできやしないことを忘れそうになるからだと思う。

 

 

ここちよい水の檻だなと思ったし、すぐに涙は止まった。でもあれから、言われた不愉快な言葉がずっと残っていて何にも手がつかない。昨日、姉とクーポンを使って五本映画を借りた。学校を休んで手に付かなかった(どうしようもないくらい終わらない)発表準備をやるはずが。どういうのが観たいの、と姉に聞いたら「名作みたいなやつ」と返ってきたのが、本当にシンプルで良いなと思った。

 

 

 

2019.10.29